こんにちは、菊地玲惠子です。今月も図書室カテゴリーのコラムです。

 

 

義父からのプレゼント、そろそろ読まなくては…!

 

デール・カーネギー、読書家の皆さんの中には、読んだことがある方も多いかと思います。

恥ずかしながら私は、齢30を超えて、やっと読みました。

しかも、漫画で。

 

 

私が今回読んだのは、『人を動かす』と『道は開ける』の漫画版です。

 

 

『道は開ける』は、私たちが結婚するときに義父がプレゼントしてくれていたのですが、

主人も私もここまで読まずじまい…

プレゼントされてから3回目の正月を迎えるにあたり、年内までになんとか読んでおきたいと思ったものの、400ページを超える大作を前に尻込み。

しかも、『道は開ける』は、『人を動かす』の続編らしいことを知り、

まずは『人を動かす』を読まないといけなような気分になり、さらに尻込み。

 

本屋で漫画版をたまたま見つけ、とりあえず漫画でなんとかならないものかと、

楽な方へ逃げたわけです。。。

 

 

 

でも、この「マンガで読み解く」や「まんがでわかる」といった類の本でも、侮るなかれ、

いきなり原著(日本語版)を読むよりも得られることがたくさんあることに気付きました。

 

しかも、素質3グループごとそれぞれが喜ぶ利点があるのです!

 

 

ちゃんと原著を読まないと、といった固定観念にしばられたままでは、ちょっともったいないかもしれません。

こんな読み方もいいかもしれないと、多様性と可能性を是非感じていただければと思います。

 

 

マンガで読み解く 人を動かす    マンガで読み解く 道は開ける

         

 

 

『人を動かす』は1936年に出版されているので、80年を超えてなお読み継がれていることになります。

 

著者デール・カーネギーは元々教師志望、副業で始めた話し方講座において、受講生に必要なのは話術以上に、対人関係の技術習得だと気づきますが、最適な教材が見つかりませんでした。

そこで、哲学書や心理学書、偉人の伝記などを読破、さらに各界の名士や実業家にインタビューをするなど手間暇かけて収集した多数の人生エピソードに、カーネギー自身の苦労と経験をまじえ、授業の現場で実証を重ねて磨きあげられていきます。

話し方講座を始めて25年、教材づくりを始めて15年を経て『人を動かす』は出版されました。

膨大な年月をかけて出来上がった「人間関係の原則」そのものだからこそ、時代を超えて普遍性を持つに至った歴史的名著です。

 

さらに、話し方講座の受講生たちには人間関係だけでなく、それぞれに悩みを抱えているものの、それを解消するための適切な本や教材がないことにも愕然とし、自らの手で書こうとの決意から著されたのが『道は開ける』です。

『人を動かす』と同じように、手間暇をかけ、膨大な年月をかけて出来上がったその内容は、やはり時代を超える普遍性があるからこそ、現代の私たちにとっても救いの書として読み継がれているのです。

 

 

ここまでの紹介、すべて漫画とともに描かれている原著に関する解説、コラムで知りました。

普通に原著を読むより、解説付きの漫画版を読んだことで、出版に至るまでの背景も詳細に知ることができたのです。

 

 

漫画版は、現代日本に置き換えて、登場人物は日本人、老若男女織り交ぜています。

原著とは全く別の時代・登場人物・ストーリーでも著者が伝えたいことが分かりやすく伝わるのは、まさに普遍性を持つ名著ならでは。

 

義父が私たちへのプレゼントに選んだのも納得の書だったということがよく分かりました。

 

 

 

素質3グループごと、それぞれのおすすめポイント

 

さて、私が思う、素質3グループごとにそれぞれが喜ぶ利点についてです。

 

 

発案グループは、その人にひもづいたストーリーや理念、信念が好きです。

前述のように解説を通して、作者の想いや本を著すまでの背景をより深く知ることができる利点があります。

 

 

表現グループは、例えば袖丈を変えられたり、リバーシブルだったり、

1枚で何通りかの着方ができる洋服を選びやすいなど、コストパフォーマンス重視。

漫画で分かりやすく内容を把握できるうえに、原著にはない解説も読めるのが利点です。

 

 

展開グループは、1を聞いて10を察する勘のいいところがあり、しかも省エネ志向

表現グループと似ていますが、原著を読まずとも、要はこういうことでしょ?と

著者が伝えたいことを解説をストーリーから把握できるところに最大の利点を感じます。

 

展開グループの私もご多分に漏れず、原著を読まなくても済んだ気になっています。

 

 

さらに良かったのは、日本人には馴染みがない部分の表現や背景についての解説があったこと。

 

日本人には馴染みがないアメリカ独特の表現のことわざが使われていたり、

デール・カーネギー自身の宗教観に基づく表現から理解に時間がかかる部分があったりします。

日本語版では日本のこのことわざに置き換えて書いているといったことや、

この章については宗教観が大きく影響しているといった、細かい解説があることで、

原著を読む前の心づもりができます。

 

多くの訳書にありがちな、翻訳したそのままだと分かりづらいからと、

無理やり日本語で表現しようとしたり訳者の解釈などが混じったりして、

著者自身が本来伝えたかったことや表現からほんの少し逸れてしまうことについて、

その背景も含めて解説されていることで、内容をより正確に知ることができます。

 

 

 

私たちが学んでいるi-colorも、

相手に伝わる表現に置き換えつつ、自分の真意もしっかり伝えることや

その逆に相手の真意を自分にも納得できるように解釈しつつ、正確に受け取ることを目的としています。

 

色々な背景がある中で全てを正確に伝えたり受け取ったりすることはできなくても、

何を言わんとしていたのか解説できる技術を持つことは本当に役立つスキルです。

あらためて実感しました。

 

 

いかがでしょうか。漫画で概要をつかんでから、原著にチャレンジ!おすすめの読み方です。