こんにちは、組織・人事コンサルタント i-colorイエローの乾 千恵です。

今日は、「チャンスの神様」を羽交い締めしてでも、目標を実現した人物の話です。

 

「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思えば」

(この世は私のためにあるようなものだ。満月のように足りないものは何もない)

 

まぁ、なんて傲慢な。。。

「こんな歌を読みたくなる気持ちもわかる」と言われるくらい絶大な権力を手に入れた人物 藤原道長。

10円玉の表に描かれた京都 宇治の平等院鳳凰堂は彼の別荘です。

彼は娘3人を時の天皇3代の皇后とし、末娘も皇太子妃という天皇家を血縁で固め、絶大な権力を手に入れます。

 

日本史の授業で「摂関政治」という言葉で習いましたよね。覚えてます??

簡単に言うと、藤原氏は天皇家に娘を嫁がせ、娘が産んだ皇子(=孫)をまだ子供のうちに天皇の位に就け、幼い天皇に代わって政治を行い(=摂政)、天皇が大人になれば政権のトップ(=関白)となって政治を牛耳ること。

 

平安時代といえば、ひらがなが生まれ、源氏物語や枕草子など女流文学が華やかな雅な時代を思い浮かべるかもしれませんが、とんでもない!!!

親子、兄弟といえども気に入らなければ容赦なく切り捨てる。まさに「好き嫌い人事」が横行する世の中でした。

そんな時代に、道長くんは摂政 藤原兼家の五男に生まれました。

お兄さんが4人もいるわけですから、普通に考えたら家の跡継ぎになれる可能性は万に一つもない状況です。

しかし、道長くんは「強運」を味方にして、権力の頂点を目指していきます。

 

 

己が生き残るためには権謀術数が欠かせない平安時代(ちっとも平安じゃないけど。。。)

 

「俺が、この国のトップになってやる!」と目標をロックオン!

 

野心みなぎる道長くん。お兄ちゃんたちが相次いで病気で亡くなるという強運も味方し、「藤原氏のトップ」へのチャレンジの順番が道長くんにやってきます。

 

「このチャンスを逃してなるものかー!」と、長兄の息子(甥)と「氏の長者(藤原氏のトップ)」をめぐって対立します。

 

道長くんは甥を追い落とすため、自分の姉で一条天皇の実母である詮子とタッグを組みます。

一方、甥の味方となったのは、一条天皇に嫁いでいた長兄の娘 定子。

一条天皇は、嫁(定子)からは「私のお兄ちゃんを・・・」、母(詮子)からは「何を言ってるの、道長にしなさい」と詰められる始末。。。(いつの時代も嫁姑は・・・ですね。)

 

嫁姑の争いの結果は母の勝利!トップへの道、第一関門クリア!

 

晴れて道長くんが「氏の長者」となると、すかさず、甥を太宰府に追いやり、一条天皇に自分の娘(彰子)を嫁がせます。(甥は自爆した感もあるのですが・・・)

 

娘 彰子に仕える女官として、「源氏物語」作者 紫式部、恋多き女流歌人 和泉式部など当代きっての才媛を集め、華やかなサロンを形成します。

一条天皇は、後ろ盾をなくした定子を不憫に思い、寵愛しますが、母 詮子から「彰子ちゃんのところにも顔を出しなさい!」と促され、イヤイヤ顔を出してみたら・・・なんと、入り浸るようになってしまいました(笑)

 

そりゃそうですよ。

彰子ちゃんのサロンには、ベストセラー作家やミリオンヒットを飛ばすシンガーソングライターがいるんですもん。一条天皇は当時まだ10代の若者です。時代の最先端を行く文化に目も心も奪われてしまいます。

 

「うちの娘が皇子を生みますように・・・」と父 道長くんが神仏に祈願したか否かは別として。。。

彰子ちゃんは、お父さんの願いを叶え、皇子を出産します。

道長くん、とうとう天皇の祖父の地位を手に入れますトップへの道、第二関門クリア!

 

一条天皇の次の皇位継承者は円融天皇に嫁いだ姉 超子が産んだ三条天皇に決まっていました。そこで道長くん、今度はその三条天皇に次女 姸子を嫁がせます。

三条天皇と仲良くしようとしますが、三条天皇は道長一人に権力を持たせるもんかと、別の藤原氏の娘も皇后に据え、皇后二人体制に持ち込むなど抵抗します。

この三条天皇、幼い頃に天皇である父と皇后である母を亡くし、藤原系統の皇族にもかかわらず冷遇され、道長くん系列には憎しみの感情を抱いていたようです。

もう一人の皇后はすでに皇子を出産していて順調に育っているのに、道長くんの娘 姸子は皇女しか出産していない。

 

道長くん、ピンチ!!

 

手に入れた権力は手放したくないし、自分の孫に後を継がせたい!

なんと、三条天皇を排除して、一条天皇と彰子ちゃんの間に生まれた皇子を皇位継承者とするために画策します。

 

あの手この手を使ってさっさと三条天皇が退位するように持ち込みます。

毎日のように「いつ辞めるの?」と迫り続け、とうとう「僕の息子を次の皇太子にしてくれるなら」と三条天皇が譲位。

ところが、皇太子となった三条天皇の皇子は「僕は天皇になりたくない!」と辞退します。

(道長くんから受ける嫌がらせを想像したら、なりたくない気持ち、十分にわかります)

 

「やったー!」とガッツポーズをしたかどうか不明ですが、かわいい孫、後一条天皇の即位が決まります。

ちなみに、後一条天皇はまだ8歳になったばかり。当然のように、祖父 道長くんが「摂政」として辣腕を振るいます。

そして、一族の権力を固めるため、孫の後一条天皇に三女の威子を嫁がせます。

そう、冒頭の歌は、威子が後一条天皇の皇后になった時の祝宴で詠まれたものです。

 

目標達成というか、念願成就したんですよ。

傲慢だとか関係ないですよね。だって叶えたいことをぜーんぶ叶えちゃったのですから。

そりゃ、「満月のようにかけるものなんて無いさ!」気持ちになっても当然ですね。

 

道長くんが叶えたかったことを全部叶えることができた理由。

それは目標を達成した状態を明確にして、達成のために手段を選ばなかったことです。

 

 

「俺が、この国のトップになる!」

 

トップになるとは、天皇の祖父の地位を手に入れ、摂政・関白として権力を握ること。

摂政・関白になるためには、娘を天皇の皇后にして、孫を天皇にすること。

映像が浮かぶくらい明確ですよね。

そこまで明確になると、迷うなど無駄なことは一切やりません。実現させるにはどうしたらよいかという思考が働きます。

 

自分の伴侶ですら戦略的に考えて結婚します。

 

道長くんの妻は、父 兼家と権力の座を争った左大臣 源雅信(宇多天皇の孫)の娘 源倫子。

当時は婿入り婚が主体だったので家の財産(邸宅・荘園からの作物など)は娘が引き継ぎます。

道長くんが五男にもかかわらず権力を手に入れることができたのは、左大臣 源雅信という経済基盤があったことが大きかったと言われています。

夫婦仲は非常に良く、嫁の倫子ちゃんも人生かけた同志として夫 道長くんの目標達成を徹底的にサポートします。

そしてもう一人の妻は、姉 詮子が引き取って育てていた源明子。道長くんはこの明子とも仲睦まじく、姉 詮子を味方につけることに成功しています。

 

本日の教訓。あなたが、藤原道長のように目標を達成するためには・・・

1)目標が達成した状態を映像化できるくらい明確にする。

2)チャンスが来たら、すかさず手段に悩まずチャレンジする。

 

「あーぁ、あの時、チャレンジしていたら・・・」「あの話、受けていればこんなことには・・・」とタラレバ人生から脱却したいなら、チャンスの神様を羽交い締めにしてでも、目の前のチャンスを手に入れること。

 

モジモジとしたり、失敗を恐れて逡巡していたら、チャンスは通り過ぎてしまいますよ。

チャンスの神様は、前髪しかないどころか、足に翼があり、俊足らしいですよ!

 

「チャンスの神様に出会ったら・・・」という話をしていますが、チャンスに出会わないことにはつかむもチャレンジするも無いですよね。

会社と家の往復や、いつもと同じ顔ぶれの中で過ごしていてもチャンスに出会う回数は限られてしまいます。

やり遂げたいこと、叶えたい目標があるなら、いつもと違う場所やいつもと違う顔ぶれに出会ってみることも確率を上げていく秘訣らしいですよ。

 

では、また次回もお楽しみに。