すっかりご無沙汰しております。組織・人事コンサルタント i-colorカウンセラーの乾 千恵です。

 

ところで、皆さんの周りにこんな人、いらっしゃいませんか?

 

「今の組織風土(会社)を変えたいんです!変えなきゃ、うちの会社は生き残れないんですよ!」という熱血漢タイプ 。
「あまり大きな変革は…(私が責任者の間は手を付けたくないのが本音)」という目立ちたくないタイプ。

 

後者が決してダメとは思わないですし、前者が必ずしも良い人材とも限らないのが組織マネジメント、人材活用の難しいところです。

 

「え?なんで?熱血漢タイプが良い人材とは限らないの?」と思われましたね。

 

「変革/改革」には「時の流れ/タイミング」があり、「今はその時じゃない」可能性を秘めているからです

 

そのため、必ずしも熱血漢タイプが組織変革に良い影響を及ぼすとは限らないと思っています。
とはいえ、既存のやり方に疑問をもって、常に提言する姿勢で業務に臨む姿勢はとても素晴らしいと思います。ただし、それも行き過ぎると「暴走キャラ」「なんかいつもイチャモンだけ言うよね」と悪評にもつながりかねないので、ご注意を。

本当に今の組織(会社や部署、PTA、コミュニティなど)を変えたいと思うなら、ファーストステップはこの人の生きざまから学ぶことが多いと思います。

 

 

織田 信長

 

 

信長といえば「信長の野望」というゲームができたり、テレビや映画の時代劇で演じた俳優さんの演技が議論になるほど、大人気の歴史人物です。(私も大好きな人物です♡)

 

ところで、皆さんは信長の功績といえば何を思い浮かべますか?

 

・家柄を問わない人材登用をした(農民出身の秀吉は有名ですね)
・ヨーロッパのキリスト文化を受容した(京都や安土には南蛮寺が建てられました)
・比叡山焼き討ちをした
・室町幕府を倒した   などなど

 

たくさん功績がありますね。なかには功績ではなく、悪行的なものもありますが。。。

 

信長の一番の功績は「既存の概念を壊した」ことに尽きるのではないでしょうか。

 

例を挙げるときりがないので、今日は1つだけ。
「人材」について信長は当時の常識を打ち破る施策を取っています。

農民出身の秀吉、忍者出身(と噂の)滝川一益、足利将軍の家臣だった明智光秀など、織田家とは縁もゆかりもない人材を登用したこと、特に重臣として用いたことは当時の常識では考えられないことです。
戦国時代は江戸時代のように身分制度は確立していないものの、暗黙知として「農民は農民」「武将は武将」と生まれた家の職業が定まりつつある状況でした。いっぽうでは、戦や権謀術数で人材が枯渇する危機感を感じた武将たちの中には家柄を問わずに優秀な人材を登用するなど、それぞれに工夫をしていたのは確かですが、信長は広く領地内外を問わず、職業を問わず、有能な人材を召し抱えていきました。

 

信長は、これまでの常識を無視するやり方をしているので、身内の中に反感を持つ人も出てきます。

 

実弟の信行がその一人です。信長が織田家当主となり、父が死去すると兄弟の対立は明白になります。「おおうつけ(大馬鹿)」と言われていた信長に対して、品行方正な好青年だった信行は家臣たち、とくに重臣たちにとっては期待の星でした。「お家の安泰=わが身の安泰」と考えたら、無理もない話ですよね。重臣たちを味方にした信行は兄 信長に対して謀反を起こしますが、信長と信長子飼いの若手家臣たちに敗北してしまいます。

 

この謀反の処理もまた常識破りでした。信行だけは殺してしまいますが、それ以外の家臣たちは一切のお咎めなし、今までどおりに重臣としての役目を務めさせます。ですが、この話にはオチがありまして、信長の子飼いの家臣たちが十分に力をつけたころにイチャモンを付けて追放してしまいます。
謀反のときは、まだまだ自分もリーダーとしての経験、子飼いの若手家臣たちも力量が不足していたので、重臣たちを頼らざるを得なかったのでしょうが、「もう要らない」と思ったら何の迷いもなく、追放してしまいました。

 

信長が後の世の中から「すごい」と評価されるのは、既存の慣習や前例にとらわれない柔軟な思考力が一番に挙げられると思います。
別の言い方をすると、既存の慣習や前例にとらわれずに「理に適わないことは破壊していく」と捉えることもできます。
信長のような存在は、既得権益の中で生きている人にとっては許しがたい存在ともいえるのです。その意味では「本能寺の変」は起こるべくして起こった信長殺害事件とみることもできます。

 

既存の組織を変える、既得権益を壊す「Clasher(破壊役)」は、「変革/改革」のファーストステップであり、ここから「変革/改革」は始まっていきます。

 

既得権益の中で生きる人たちにとっては、Clasher(破壊役)はまさに「獅子身中の虫」。
信長に限らず、どの時代でも「Clasher(破壊役)」の役割を担った人たちは非業の死を遂げたり、政治生命を抹殺されたり、なかなか本願成就とはならないケースが多いようです。
そうならないために、同志・協力者といった味方を増やし、時機が到来するまで着々と準備を進めることが肝要です。

 

このあたりは、また別の人物を事例にご紹介しますね。

 

ちなみに、織田信長のタイプはi-colorでは、「展開グループ」に多くみられます。展開グループの皆さんは、視線の先が外の世界にあることが多いので、時代の半歩先を見据えた言動や描いている世界観は壮大です。そのことについて説明は上手ではないタイプなので、他の人から理解されにくいこともあります。本当に成し遂げたいことがあるときは、同志と協力者、味方を増やして着々と進めていかれることをお勧めします。